他人の空似

創作小話やネタなどをだらだらと。

CCC!!/Cat and Crow with Corpse③

 

 俺に知られたくない事があるように、彼女にもあるのかもしれない。

 

 黙々と食べ続けるが量は少ないので直ぐに食べ終わる。弁当箱をしまい、時間を確認すると食べ始めてから10分もかかっていなかった。身に沁みついた早食い癖は中々治らない。

 腕を上げ体の筋を伸ばすとバキバキと関節が鳴る。連日のデスク作業で肩と腰は固くなっている。凝りを解すように揉むが意味はない。

「終わったかい?」

 上からかけられた言葉に驚く。

「お前……」

 振り返ると入り口の棟の上にいたのは見覚えのある女がいる。

「伊波?」

「残念だけど違うよー」

 女は手を振ると下に降りてくる。逆光で分からなかったが、女は伊波ではなかった。

 伊波は黒髪で腰まで届くストレートヘアだが、この女は黒髪ではあるが肩で切り揃えられているし青のメッシュが入っている。急激なイメチェンかもしれないがそれにしても変わりすぎだ。それに、女の雰囲気は伊波と違った。

「お前、誰だ?」

「アンタの知ってる女と同じだよ」

 声と顔は伊波とそっくり、いや、同じだ。女は上着から棒付き飴を取り出すと包装紙を床に捨てる。紙は風に流されて見えなくなっていった。

「伊波じゃないだろ」

「イナミ?」

 女は訝しげに顔を歪めると飴を口にくわえる。歯にあたる音が聞こえるほどに近づいて来た女は俺の顔をじっくりと見る。

「あいつ、こんなのがタイプなのかよ。意味わかんねーな」

「何なんだよ、お前」

 女はひとしきり俺の顔を見ると満足したのか後ろに下がる。

「そのイナミってやつに言えばわかるよ。私は105番だからわかんじゃないのか?」

「105番?」

「じゃあねー」

 何の番号だとか、伊波との関係とか、どうして同じ顔と声なのかとか、聴きたいことはたくさんあったが、女は入り口から手を振りながら姿を消す。

 直ぐに追いかけたが階段には誰もいなかった。

「何なんだよあいつ……」