他人の空似

創作小話やネタなどをだらだらと。

CCC!!/Cat and Crow with Corpse②

 
  よくよく考えてみたら、今の状況って普通じゃないのかもしれない。
 
 満員電車に揺られて揉みくちゃにされた後、ようやく着いた勤め先。自分の席に着けば昨日はなかった書類の束、束、束……。一番上の内容を見てみれば上司の名前。一番下には鉛筆で走り書きがされている。
『14時までよろしく』
 よろしくじゃねぇよ。思わず紙束を破り捨てたくなったが、奥歯を噛み締めながら堪える。ちらりと上司を盗み見れば、笑いながら電話をしている。手元には新聞、机には何も積まれていない。14時までなら自分でやれよ……。
 文句を言っても改善されないことは目に見えているので大人しく書類に手を伸ばす。
 締め切り時間とどのくらい時間がかかりそうなのか予想を立てて振り分けていく。ほとんど直ぐには終わらないものばかりだ。面倒なものほど押し付けられる気がする。
 振り分けしたのなら手を付けていく。納品書と計画書類の束は中々減ることはないが、それでもやり続ければようやく机の天板が見えるくらいには片付いた。時間を見れば13時を過ぎている。上司から押し付けられた書類はとうに終わっている。後は上司に渡せば終了だ。だが、肝心の上司は一足早い休憩から帰っていないのか、席には上着のみを残して誰もいない。このまま机の上に置いておくのもいいが、万が一のことがある。戻ってきたら渡そう。
 俺は少し遅いが昼飯にすることにした。伊波が作ってくれた弁当を持ち、席を離れる。目指すのはいつも行く屋上だ。
 
 この会社は1階がエントランスと警備室、2階から各部署に分かれていて、俺がいる営業部は3階にある。営業部の中でも外回り班と企画班等に分かれているが俺は後者だ。企画班と言っても人数は少なく外回り班の雑用みたいなものだ。俺は専ら外回り班が使う資料やプレゼン原稿、契約書の作成から経費をまとめて経理に出したり、クレームが来た時の対応など、みんながやりたくないことばっかりやらされている。
 大きなため息を吐きながら階段を上る。いつもと同じように仕事を押し付けられ、日中のほとんどをそれに費やす。自分の仕事は日が沈んでからになりそうだ。
 屋上には誰もいないのか静かだ。吹き抜ける風はまだ生暖かい。ここには緑化計画で植えられた植物があるがそれからは数か月に1度ペースでしか整理されていないので雑草やら蜘蛛の巣が放置されている。その為こここに来る人はあまりいない。
 その中でも穴場なのは入り口から陰になっている植え込み傍のベンチ。日陰になっているのでこの場所だけは涼しい。そのベンチに腰掛け伊波が作った弁当を開ける。1段目にはごま塩が振りかけられた白米だ。2段目にはサバの味噌煮と茹でたぶブロッコリー、串にささった肉団子、金平牛蒡が入っている。
「いただきます」
 箸を持ち、ご飯を食べる。時間が経っているので冷えているがそれでも美味しい。相変わらず薄味だが。